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2012年10月11日

8月20日続編 レンタルカヌーにもの申す 須佐


あまりここでグダグダしたことを書きたくないのだが、

劇場型の通信として書くことにする。


本日は風の影響もあり、海が若干ザワついていた。

陸から海に風が吹く出し風である。



とある湾でカヤックの集団を発見する。

どうも動きがおかしいので、近づいて見ることにした。


レクリエーショナルの二人艇に向き合って座っているカヤックもいる。

やはり変だ。斬新といえばそうとも言えるが・・


他の艇をよく見ると、子供達がライフジャケットを着けていない。

大人ではなく、子供がである。


大人ならばそんなもん自己責任とするスタンスであるが、

相手は子供である。

一艇に四人も乗っているし・・・

海岸から100メートルは離れているこの場所では、ちょっと無茶な遊び方だ

初めて見る異様な光景に、嫌な予感がしたので上陸をして様子をみることにした





調度よく一艇のカヤックが上陸してきた

話しかけてみることにした



ざっと話しをまとめると、

ここの海岸の上に、須佐エコロジーキャンプ場があって

一時間1500円でカヤックを貸してくれるとのこと



なるほど、レンタルカヌーだ。




「何かやってはいけないことの注意を受けましたか?」との問いに

「何一つ聞いてないですよ、丸々カヌーとパドルを渡されただけです」との答え

「漕ぎ方のレクチャーも??」

「指導員をつけると5000円と言われましたので止めました」


なるほど、話しを聞いて脱力した。

その答えが海上にあったからだ



一昔前の自然を知る日本人であるならば、このスタイルで営業できるのかも知れないが

現代日本人に対してこのやり方をするのは無謀に思えた。

子供達の親を含めて、海や海岸線を遊び場として育ってきている世代ではない。

ここは誰かが守ってくれる遊園地や、

ライフセーバーがいる海水浴場ではないのである。

もちろんここには、キャンプ場の監視員もいない、


自然で楽しく安全に遊ぶには、それなりの心構えと物理的な注意点というものがある



現にこの夏だけでも、足の届かない場所で浮き輪から離れてしまい

溺れかけている子を助けている。

それも二件あった。

実際にそうなれば、人はすぐにパニックになる。

パニックになるから溺れるのである。

ライフジャケットを着ているだけで、その強い浮遊感からパニックにならずに済むのである。

相手は子供達なんだから。

また、風がある日はひっくり返ってもカヤックから手を離さないということも大事

浮き輪のようにパーッと流されてしまう




余計なお世話と分かりつつも、丘を登り須佐エコロジーキャンプ場の管理室を訪ねてみた

子供達が非常に安い金額で自然体験ができることは、おおいに素晴らしい事だが

子供達の命を守るという観点があまりにも皆無ではないかと考えたからだ



勝手ながらだが、自分の考えを伝える

返事はこうだった


「ここで注意を言ってるじゃけー、それで死んでも関係ない。自分の問題じゃけー」



この言葉を聞き、悲しくなった。

子供達が死んでも関係ないか。。。

その言葉を聞き、熱く語りかけることを止めた。

もちろん皆の意見ではなく、一人の意見であると思うが。。。

自己責任と言いたいのであろう。

が、現状の日本人に対して自己責任の言葉はあまりにも広義だ

自分の命は自分で守るという教育を僕達の世代でさえ受けていない

これはメディアリテラシー能力とも言えるのではないか

貸し出しの際のメディアリテラシーだ


なぜ、行政が自然体験に手を出すと(もちろん素晴らしい施設はありますが)

こうなってしまうのか。

そこを疑問に感じた。

父性的であるとも言えるのだが。




さてさて、ここでの問題のまとめとする



自然の中で楽しく遊んで学ぶことは生きていく過程の中で非常に大事なこと

それは本質的に生きる事を学べる貴重な時間でもあり

生きる力を伸ばす時間でもある。

ただ、子供達の親を含めて子供の頃の遊び場はすでに自然の中ではない

何に注意をし、何が危ないのかが分からないのである。

これはガイドの経験を通してよく分かったことだ。

多くの人々はそうなのである。

そこを踏まえて自然体験プログラムを組むことが大事なのではないか。

レンタルカヌー自体が悪いと言っているわけではないが、

現に海上では規律が無視されメチャクチャになっているのが、問題なのである。


もちろん自己責任とはとっても大事なこと。

陸上においても、日常生活においても。


その大事な自己責任能力を向上させるためにも

こうした自然体験プログラムがあるのではなかろうか


人間は失敗を繰り返して学んでいくものだ。

現に僕はかなり多くの失敗をしている

それは人間だからでもあり、成長の過程であった気がする

ただもう、大きな事故はコリゴリだ




大きな事故に繋がっていく失敗の連鎖を食い止める者、

それがこれからの自然ガイドなのかもしれないと感じた







グダグダの長文を最後まで読んで頂きありがとうございます。







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この記事へのコメント
大変亀レスで恐縮ですが、件の係員の方は、アウトドア事業に関わる大人の態度とは思えず、悲しい限りです。もしも事故が起こったら、きっと自分はしっかり説明をしたと、必死の言い逃れをするに違いありません。子供のPFD着用を義務化ていないとは、とてもじゃないけど信じられず、怒りを禁じえません。もしかすると、子供用のPFD自体、置いていないのかもしれませんが・・・。
Posted by しんのじ@長崎市 at 2012年10月12日 14:00
改めて暇を見つけてブログ記事色々読んでみているところです。
行政がレンタルカヤックするとこうなるのは仕方ないです。何セ予算が・・・
と役人はすぐにそう答えますからねw
ただ、思うに、一概に行政だけの責任ではないと思います。
指導員(イントラ)つけると+5000円になるから、それは断るという姿勢にも問題ありです。それを言ったのが保護者なら恐ろしいことです。5000円支払うことでリスクを減らせるなら・・・なんて事は一切考えていないのですよ。少しでも(例え50円でも100円でも)安く子供に遊ばせれれば、それでいいのさ。良識なんて関係ないさ、的親が多い。だから、銭湯で子供を泳がせたりするんです。
もう一つ、レンタルとは、自己責任で行うからレンタルなんですよ。扱い方の指導を受けたいなら、スクールへ行くべきです。自転車や自動車のレンタルで運転の仕方を教えないのと同じです。 
でも万が一死亡事故などが起きたときには、マスコミに袋にされるのは行政なんですがねw
Posted by 海歩人 at 2012年11月07日 23:51

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